――卒業式の前の日
あたしはいっぱい泣いた
赤い目をしながら
職員室に向かった。

コンコンっ

『失礼します。
先生達に…お願いが
あります』
『なんだ?佐倉』
あたしは真っすぐ
先生の方を見て

『卒業式の答辞…
刹那の代わりにやっても
いいですか?』
先生達は少し驚いた顔を
していた
『確かに黒崎の代わりを
誰かにやって貰おうとは
思ってるけど』

『あたしは…一年の時
刹那と同じクラスでした。合宿の班だって…。
あたしはアメリカ…
刹那はドイツだったけど
留学の経験もしました。
それにあたしは…あたしは今も刹那のこと…
スキなんです。
刹那の代わりにやらせて
下さい。』

言い終わった後…
刹那のクラスの担任は
『頼んだよ』
と一言だけ言ってくれた。

その日あたしは先生と
一緒に答辞の内容を
考えた。
何とか完成して何度も
繰り返し読み返した。
でも…どおしても
納得いかなくて…
先生には悪いって…
思ったけど自分で
もう一度作り直した。

書き直す間…
涙が出てきて
止まらなかった。


なぁ…刹那。
あたしこの答辞に全てを…想いをたくすよ。