そう言って稚沙は刹那に
キスをした。
刹那もいつから米倉
じゃなく稚沙って
呼ぶようになったの?
やっぱり付き合ってる
からなの?

もう…嫌。
ここにいたくない…
もう何も…
聞きたくない…。

あたしはその場所から
離れようとして
足を一歩ずつ後にひく。
しかし手がドアに
ぶつかってしまった。
『誰か…いるの?』

あたしはその場から
全力で走った。
でも後から走ってきた
刹那にすぐ腕を掴まれた。
『待てっ!』
あたしは涙を目にためながら後を…
刹那の方を向く。
『えっ…麻……衣?』

刹那は明らかに動揺して
声が震えていた。
名前を呼ばれた瞬間…
目にたまっていた涙が
いっきに溢れ出した。

『刹那……離し…て』
『いやだ』
『離してよ…
彼女のとこ…稚沙のとこ
戻れば?』
『さっき聞いてたの
麻衣だったんだ』

息を切らしながら
稚沙が近づいてくる…
『刹那っ!』
愛おしそうに呼ぶ稚沙に
あたしは苛立ってしまった