目を覚ますと…
水の流れる音がした。
空を見上げて…
あたしが落ちたと
思う場所に目を移す。
でも道らしき道は
全然見えなかった…

体を起こそうとしたけど
力が入らない。
それでも頑張って
起き上がり自分の足と腕に目を動かす。
無数の傷があちこちに
出来て血が止まらない。
着ていたジャージも
破けていた。

怪我の痛みに堪えながら
小さな川へと向かう。
血が流れる足と腕を
洗う。
水がしみてあたしの顔は
だんだん歪んでいく。

周りは誰もいない…
あたしただ一人。
ほんのり薄暗い…
霧がかかっているのか。
一人の寂しさに
身を縮め膝に顔を
埋める。


――あたしはここで
死んじゃうのかな?
刹那にも稚沙にも陸人にももぅ逢えないのかな…

『刹那…稚沙…陸人』
三人の名前を口に出す…
あたしは携帯の
存在を思い出す。
きっと圏外…
でも見ないとわからない
よね。

携帯を見てみると
電波を示すマークが
一つたっていた。
駄目もとで刹那に
電話をかけてみる。