桜ver
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もう、生きてる意味なんてない。
神様は、私をいらないっていってるんだ。
だったら、望んでいるように
この世から、消えなきゃダメだ。
生まれ変わったらなにになろう…。
「ちょ!なにしてんの!?」
ふと振り返ると、誰かも分からない男の人が立っていた。
「動かないで!今行く!」
男の人が私めがけて走ってくる。
「こないで!!」
彼は、すっと止まり動かなくなった。
「やめて。この先いいことなんか何一つないの。神様は、私をいらないって…」
「そんな訳ないだろ!」
私は、いいかけていた言葉を、遮られた。
「たまたま悪いことが続いただけだ!この先いいことがある!俺が保障する!!」
保障するって…。会ったばかりのあなたに
なにが分かるの?
「なんでそんなに私にかまうの?初めて会ったばかりじゃなぃ!」
「そんなの関係ない。みんな生きてんだろ?」
生きてる…。私は、その言葉に言葉を失った。
続けて彼が、声をからしながら言う。
「生きてるから、辛いとか、苦しいとかいえんだろ!」
そして彼は、私の方に走ってくる。
私が、やめてと言う前に、
彼は、私の手をつかんで離さなかった。
「そんなとこいねーで、こっちこい。」
私は、今まで抱え込んだ悩みや、苦しさが
一気に溢れだした。
「うわぁぁぁ」
私は彼の胸に、倒れこんだ。
彼は、私の話を、ずっと聞いてくれた。
名前や学年、飛び降りようとしたことなど
すべてを話した。
彼は、初めて会ったばかりなのに
真剣に話を聞いてくれた。
そして、彼の名前を聞いた。
神沢 心吾(かみざわ しんご)
高校1年生で、私の同い年だ。
私は、夕方まで話をした。

それが、私と心吾の出会いだった…。