「麻有、あんなこと言って本当に良かったわけ?」


高木くんの姿が見えなくなった後、希沙ちゃんがそう聞いてきた。


「本当は榛名のこと、応援したかったんじゃないの?普通好きなら、そういう風に思うものでしょ?」


私を見ながら“違う?”と少し首を傾げる。


「体育祭は勝負なんだよ?敵を応援したらダメだもの」


そう言いながらも、本当は榛名くんを応援したいという気持ちはあった。


だけど応援なら、声に出さなくても出来る。


「変」


希沙ちゃんがただひと言そう呟いて。


私はグッと体操服の袖を握りしめた。