「真逆?」 “同じ方向なんだから遠慮しなくていい” 確かに昨日、榛名くんはそう言って半ば強引に私の手を引っ張っていって…… 「だって榛名ん家は、城ケ崎海岸の方だから。ねぇ、さくら?」 「うん。虎と家近いみたい」 「――城ケ崎海岸って……」 それは思いっきり反対方向で、私の家に近いどころか遠い。 どうして嘘なんか…… 「私も希沙に同感。榛名くんは麻有のことが好きなんじゃないかなぁ」 榛名くんが私を好き? 「……ッ」