「ユウリー!!!
早くしないと遅刻するわよぉー。」

いつも以上に、元気な声が家じゅうに響く。

「分かってるー。」

そっけなく返してしまったけど、
なんだかいつもの会話なのに、
くすぐったかった。





――――あの日以来、
私達のあいだにあった
“透明な壁”みたいなのが
なくなったような気がする。