ギャーギャーと叫ぶ青年の声を聞こえないように手で耳を塞ぐ李香。


それに気づいた青年は李香の手を耳から無理矢理引っ剥がした。



「なによ」


「それはこっちのセリフだ!」


「だって、聞かなきゃ相手しなくていいじゃない」



なんとも冷たい答えだろう。


だが、めげたりしないらしいこの青年は逆に開き直った。



「ならお前が聞くまで出て行かねえ」


「そう。ならそうすれば」



そう言って李香は自分の部屋から出て行きかけた。


出て行きかけたのだが…。


何もしていないのに、部屋のドアが閉まってて開かない。


部屋に入ってから鍵は閉めていない。



「言っとくが聞くまでオレは出て行かねえし、お前も出られねえ」



青年は口の端を上げながら言った。



「オレの話を聞け」