矛先を向けられた紅牙はまたしても体をビクッとさせた。今度は顔だけじゃなく体全身を黒縁眼鏡をかけた青髪の青年を見ようとしない。


それは当然さらに機嫌が悪くなる方向になる。



「おい」


「………」


「だんまりを決め込むつもりか」


「………」


「そうか泣かされたいか」



どうやらこれが決定的だったらしくものすごい速さで真正面に向き直った。過去にこんな感じにされたのは明白だ。



「オレはちゃんと聞けって言ったぞ!なのにあいつがそれを引き延ばすからだな!」


「それで悪口言われてカッときて、闇雲に殺そうとしたと」


「そうだ!オレは悪く……って、何で知ってんだよ」


「たまたまだ」



嘘だ。偶然じゃない。紅牙を見つけて尾けてきたに違い無い。