聞き返すだけだと思っていたのに、なぜか黒縁眼鏡をかけた青髪の青年の興味が李香に移り変わった。



「見た目は本当に普通の人間の女だな。これといってどこか特別というところも見当たらない。まったくもってタダの人間だ」


「その人間を前によくそれだけ悪態吐けますね。せめて本人の前じゃないところで言ってくれませんか」


「断る。なぜ俺がそこまで気を遣ってやらなければならない。嫌ならお前が出て行け」


「ここは私の部屋です。そっちが出て行くのが普通でしょう」


「俺は別にあのバカの話を、どこで、いつ、聞かれても問題は無い」


「……人を思いやるという選択肢は無いんですね」



いつでもいいならその置いとけぼりにされたような顔をしてるのを別の所に連れてって聞いてださいよ。



「どうしてもと言うならお前の言う事を聞いてやってもいいが」



絶対妥協しないと思ってい人物がこんな美味しい話をしたら誰が蹴ろうか。