「―――明日暇だったら、遊びに行かない?」

「あ、ご、ごめん!明日男友達と遊ぶ約束してるの。」

「え…?そ、そうなんだ?じゃあ、楽しんで来いよ。また電話するわ。」

今までどんな女友達でも、栄でさえも、男友達と遊ぶことぐらい何とも思わなかった…。

でも、広海に同じことを言われた瞬間、言葉では表しづらい感情に襲われ、受話器を持っていた手が震えていた…。

その男友達は彼氏なのか、好きな人なのかと考え始め、どうしたら良いのか分からなくなる反面、自分は彼氏でもなく、ただの男友達の1人でしかない現実を突きつけられる…。

広海に会いたいと思っても、そんな言葉を簡単に言える存在ではないということが歯がゆくて仕方がないと感じた…。

仕事をしていても、いつも広海のことを考えていることに戸惑いも感じる。

今までにない感情に戸惑うけれど、今の関係を壊すのも怖くて何も言い出せず、連絡が来たら、何事もないかのように電話していた。

広海からポケベルにメッセージが来るたびに嬉しい気持ちで一杯になることに気付き、広海のことが本気で好きなのかもしれないと思うようになったのは、広海と再会して1ヶ月が経った頃だ。