仕事で忙しい毎日の中で、たまに広海からポケベルにメッセージが入る。

ポケベルにメッセージが来ると、幸一は家の電話から広海の家に電話をかけて、ずっと話をする。

再会した時も話したけれど、話せば話すほど昔と変わらない広海だと分かり、懐かしい気持ちと嬉しい気持ちで一杯になる。

最初はポケベルにメッセージが来たら電話して思い出話をしたり、仲が良かった友達が今どうしているのかを聞いたり、お互いの話をしたりするだけだったけれど、徐々に会って遊ぶようになっていった。

幼馴染みに再会したというだけのことなのに、広海と会って話すようになり、幸一が気付かないうちに自然と笑えるようになっていた。

ただ、その事実に気付いていなかったから、広海のことをただの女友達でしかないと思っていた。

今までいた女友達という存在は楽で楽しかった。

他の女友達と遊んでも怒られるわけではなく、毎日必ず連絡をしなきゃいけないわけでもない。

何より、その人のことを第一に考える必要がない関係が、幸一にとって1番良かったはずだった…。