父親は毎日のように飲んでは暴れ、母親の体は痣だらけになり、弟はまるで感情を失くしたかのように笑わなくなった…。

幸一も何もかも我慢することをやめて、髪の毛を茶髪に染め、ピアスも両耳に開け、タバコを吸うようになり、酒も飲むようになった。

そんな幸一と酔っ払った父親が毎日のように喧嘩になることは言うまでもない…。

そんな生活をしていることを栄に言えるはずもなく、我慢しないと決めたはずが我慢の連続の生活になり、幸一の精神状態はとても不安定だった。

その中で高校卒業と共に、栄から別れを切り出された。

ただ、栄という存在がいなくなることに対して、何かを思えるだけの気持ちに余裕などなく、気にすることはなかった。