高校に行く時、バスケの強豪校に行きたくて、毎晩遅くまで勉強していた。

とにかく必死に勉強していた時、幸一の部屋にビール瓶を片手に酔っ払った父親が乗り込んできた…。

幸一のすべてを奪うために…。

「何勉強なんてしてんだよ！！私立なんて行かせねぇぞ！！お前なんか高校に行く価値もねぇ！！」

父親は幸一の頭をビール瓶で小突いた。

幸一が行きたかった強豪校は私立だったから、入学金も馬鹿にならないということも分かっていたけれど、その高校にはどうしても行きたいと思う理由があった。

その高校でバスケがやりたいというのはもちろんのことだが、全寮制であるということに惹かれていた。

この家から出て行くためにはこういう口実が必要だと思っていたし、卒業してから少しずつでもお金を返していけば行かせてもらえると思い、必死で勉強を続けてきた。

その高校に行かなきゃ意味がないという気持ちが強く、何とかやり過ごそうと幸一が笑顔を作った瞬間だった。

「何笑ってんだよ！！」

『バリンッ！！』

強豪校だろうと通用する自信はあった。

そこに行って、バスケのプロ選手を目指すつもりだった。

でも、父親が持っていたビール瓶を幸一の右足首に勢い良く叩きつけた瞬間、すべてが終わった…。