『コラ!お客さん待たせてサボっちゃダメだぞぉ〜』


そう言いながら愛美のおでこを指でつつく。



愛美はクスクス笑って、


『梨花さんだって、いつも指名のお客さん放ったらかしで休憩してるじゃないですかぁ』


って言った。



『梨花さん、今日早めに上がれるように、お客さん早く帰しますからね。』


『もぉ〜お客さんは大事にしなきゃダメだってば!』



そう言いつつも、愛美の気遣いが嬉しかった。



『圭輔くんは?今日、緊張してたんじゃない?』


『ぜぇんぜん!圭輔ってば夕方ギリギリまで爆睡してましたよぉ!!多分、頭に寝グセついたまんま出勤してますよ〜』



愛美が幸せそうに笑う。



『やっぱ行かないの?』


私が聞くと、



『行くって言ったんですけど…圭輔が来るなって言ったんで行かないです』


笑ってた顔が真顔に変わる。


『なんで?』



『…なんか、仕事してるトコ見られたくないって…ベロベロに酔うだろうし、女の子もたくさん来るだろうから、そんな姿見せたくないんだって…言ってました』



(大事にされてるんだなぁ…)



うつ向いてる愛美に大丈夫だよって背中を撫でた。



『梨花さん、洸太さんと行ったら圭輔の様子も見てて下さいね!!後で教えてください〜』



『任せといて!!』




二人でまた笑い合った。