店に入り、店内を見渡す。


すると哲也の姿ともう一人…


『テツっっ!なんでいるの?仕事は??』


慌ててるせいか早口になる。



『梨花、サボってんじゃねぇよ!しかも客なんだから挨拶くらいしろよな〜』


クスクス笑いながら哲也が言った。





『言われた通り、来ましたよ?』


もう一人の…宮川洸太が言った。




(うゎっ!本当に来た…)




さっきまでの後悔が一瞬にしてなくなる。



『いらっしゃいませ、まさか本当にいらっしゃるとは思ってなくて…ご指名ありがとうございます。』



急に仕事口調に変わる。



『いや、俺は約束は守るから。』



(約束?冗談だったのに約束?………あっっ!)


自分で言った台詞を思い出す。


【営業しに来て、指名してくれたら行ってあげる】



(しまった〜!)



宮川洸太はニコニコしながら、


『明日、楽しみだなぁ〜』


って笑った。




私は肩を落としながら、


『えぇ、もちろん伺わせて頂きます。【約束】ですから…』


と言った。




その後は普通に楽しく話すことが出来た。

(仕事中だとうまく話せるのになぁ…なんで普段は出来ないんだろ?)




─しばらく談笑しながら、
二人は次の約束があるからと足早に帰って行った─