あの時、私が愛美とちゃんと向き合っていたら、


今の状態にはならなかったのかも知れない…




店に行くまで色んな事を考えていた。


愛美はもう私に心を開いてくれないかも知れないって不安だった。




『おはようございます』


ロッカーに向かう前に、店長と目が合う。


頼んだぞと言った目で私を見るから、


小さく頷きながらも余計にプレッシャーがかかる。




ロッカーに入ると、まだ愛美は来てないみたいだった。


どこか安心してしまう自分がいた。


(はぁ…)



『梨花さん、おはようございます』


ボーっとしていたら女の子が話しかけてきた。


(誰だっけ?)


お店の女の子は愛美以外、名前も覚えていない。


『梨花さん、体調でも悪かったんですか?』


『あぁ…ううん、ちょっと私用で行くとこがあって』


『そうなんですか、普段は休まないのに連休だったから落ち込んでるのかと思ってました…』


『何のこと?』


『愛美ちゃん酷いですよね、私達みんな梨花さんの味方ですから!』


『…ねぇ、ちょっと何の話?』