あれから、私は愛美の席には戻らずに、


自分の指名のお客さんをたくさん呼んで、

愛美と話さなくて済むようにしていた。


真田さんが閉店までいる事はわかっていた。


だから、フリーのお客さんじゃなければ愛美と話さないで済む。



帰るときもロッカーに着替えに行った愛美を見て、


ボーイに荷物を取らせて挨拶もしないで店を出た。



洸太から着信が何回か入っていたけど、


もう話す気になれなかった。



全てから逃げ出したい。



そんな気持ちでいっぱいだった。


もう考えたくなかった。