圭輔くんは本当に何も知らなかった。



『なぁ梨花、お前家行ってみたら?』



洸太がそう言ってきた。



『…えっ?』



『えっ…て、お前心配なんだろ?愛美ちゃんだって誰かに話聞いて貰いたいんじゃねぇかな』



『でも、洸太は?』



『俺はここで待ってるから、遅くなるなら電話して?』



洸太の優しさが嬉しかった。

私は一人で店をでた。




タクシーの中で、私は不安だった。


愛美はロッカーを出るとき、私の呼び声に振り返らなかった。


家に行っても会ってくれないかも知れない。





(洸太が待ってくれてる)


そう思ったら、勇気が湧いていた。