『梨花、今日あいつ…店早退したらしいけど調子悪そうだったか?』


店に着いてすぐ圭輔くんにそう聞かれた。


『…あぁ、うん』


何て答えればいいのかわからずに曖昧な返事をした。


『うつしたくないから今日帰ってくんなって言われたんだけど…あいつ、大丈夫なんかな?』


『…えっ?』


(帰ってくるなって…なんでだろう…)




『なぁ、梨花…俺…愛美の事…たまに、よくわかんねぇ時があって…』



圭輔くんが言いづらそうにゆっくり話出した。


私と洸太が聞きたかった愛美の話だった。



『わからないって?』


洸太が尋ねる。



『梨花、愛美から昔の話とか、友達の話とか聞いた事あるか?』



『…そういえば無いかも。あんま自分の事、話したがらないし…』


私も何度か不思議に思っていた。

いつも愛美は私の話を聞くばっかりで自分の話はあまりしなかった。



『だろ?あいつ…親いねぇらしいんだけど、めちゃくちゃいいマンション住んでるし…俺、家賃払うっつったら持ち家だからいいって…』



(確かにいいマンション住んでるよなぁ…)


『親いないって?亡くなられたの?』


『最初はそう思ってたんだ、遺産かなんかで金があるんかなって…詳しく知らねぇけど違うと思うんだ…』


(どういう事…?)