「どれ、見せてみ?」

「ん」


べー、と舌を出してみると、
噛んだ場所が根元の方で、歯に当たった。



「……っ!」

無言で悶えていると、
苦笑しながら頭を撫でられる。

そしてその動作に驚いて、また噛んだ。


「い……っ」

「大丈夫?」

いつになく優しくされて、
意味が解らない。


通常なら、俺が舌を噛んだと言った所で
『あっそ、お大事に』と、
それで終わりのはずだ。

数秒後には彼が
別の話題を持ってきて終了。

それがいつも通り。