怒鳴り声が効いたのか生徒達はまばらにバラけて、ゾロゾロと階段を上っていく。


何があったのか知りたかったが、ヨシオには気軽に話せる親しい友達もなく、自ら誰かに聞く勇気も持ち合わせていなかった。


どちらかというと人間関係が苦手な方で、クラスでも影が薄かった。幸い派手なイジメには合っておらず、たまに軽くイジられる程度で済んでいる。


まあ、教室に着けば話が色々と飛び交っているだろうから、何かしらの情報は手に入るだろう。担任からの説明もあるかもしれないし。


ヨシオは急いで校内に入り上履きに履き替えると、井沢と目を合わせないように、そろり、と生徒達の流れに紛れて階段を上りだした。