それを見ると、おじいちゃんはため息をついて、
「霊剣も形成できないとは。おかしいの??お前には、次期当主である証の『白眼(ビャクガン)』が出ておるというのに、まったく霊力を感じないの~。」

僕の家では、次期当主になる者には、生まれつき普通黒い瞳が瞳の輪郭が黒いだけで、中は白くて瞳孔で黒くなるといった気味の悪い眼をしていたのだ。
僕は、申し訳なさそうに
「すみません。鬼などはしっかり見えるのですが。」

鬼とは、この世の邪な魂が集まった者、僕たち陰陽師は、その鬼から一般人を守るのが役目なのだ。
おじいちゃんがその白眼を僕に向けて、
「まったく霊力を感じないとは本当におかしいの??お前の兄貴はこの霊剣などの修行をお前と同じ年の頃には終らせていたぞ。」
僕は、体をちぢこませて
「すみません。」

僕は、兄貴が嫌いだった。兄貴は白眼が現れなかったが、僕はいつも兄貴と比べられていた。七つも年が離れた兄貴は、この安部家の長い歴史で『安倍晴明の生まれ変わり』と噂されるほどだった。

僕は、この年になっても霊剣ですら創れなかった。