「ねー、綾乃ちゃん。
仁ってきつくない?
ちゃんと優しくしてもらってる?」



恥ずかしさで俯いていたあたしの顔を、
美代さんが覗き込んでいた。


恥ずかしさで
少し顔が赤くなっていたのと驚いたのが合わさり、
後ろへと下がってしまう。



「うっさいなぁ。美代には関係ないやんけ」

「うっさいのは仁ですぅー。今は綾乃ちゃんと話してんやから黙ってて」



2人が言い合うから、
だんだん小さくなってしまった。



「お前は兄貴との事だけ考えとけや」

「わー。生意気!
普段は気取ってるくせに家ではガキみたいに言い返してくやからっ」

「うざっ」

「ウザって何よ!?」



言い合いが続く2人に困っていると、翔さんが



「おい、綾乃ちゃん困っとんぞ」



助け舟を出してくれた。


ハッと気付いたかの様な2人に見つめられ、
小さくなったあたしは左右にキョロキョロと目を泳がした。



「綾さん、ごめんな」

「綾乃ちゃん、ごめんな!」



苦笑いを見せながらも、この2人ってちょっと仲良いのかな?


って、ちょっと。

ちょびーっとだけ嫉妬しちゃった。