否定、しないんだ。

アイツ、そんな風に呼ぶんだ。



親しい関係。



本当に彼女かはわからない。

だけど、それを肯定するには十分過ぎる。



あたしにはバイト先に来てもいい、
とか言われたことない。


あの人には言ってるの?


違うかもしれない。

たまたま勝手に来ただけかもしれない。



見たことを信じたくない、あたし。

聞いたことを信じたくない、あたし。



だけど……。



あの人は誰?

すごく聞きたいけど、
あたしに聞けるはずなんてない。



それよりも、今はこの場を離れたい。


取り合えず、一人になりたい。



仁が後ろの席を片付けているけど、
そんな事なんてどうでもよくて。

雑誌を乱暴に鞄に入れると、
あたしは立ち上がり真っ直ぐにドアへと向かった。



「ありがとうございましたー」



後ろで仁と片付けていた先輩の声に続いて、
どこからともなく声が続く。



あたしがドア付近まで行ったところで



「ありがとうござい……え?」



そう仁の声が止まったのを聞いた。