「寂ちい……」



デスクに倒れ込んだあたしが呟くと、



「鬱陶しい」



隣のデスクでパソコンを打っていた千恵が、
眼鏡を外しながら言った。



「だってぇ~」

「あんた、年を考えなさい、年を。
“寂ちい”って年じゃないでしょう?」

「でも~」

「だって、とか、でも、しか言えないの?」



厳しい突っ込みも
今のあたしは反論する気にもなれない。



仁と想いが通じた31日。

幸せいっぱいで迎えた新年。


何もかも絶好調だったはずなのに。


今の気分は最悪。


原因は、新学期早々に仁がバイト先を変えた事に始まった。

今までのバイト先は
シフトも週毎で、
休みも多くて。

ほとんど、
あたしの予定に合わせてくれてたんだ。


って事を、
今回のバイト先に変わって初めて気がついた。


急に相談がある。
って言われた話は、

バイト先を変えたい。

って事だった。


一瞬、別れ話!?
って思っちゃったあたしにすれば、
そんな事まで気を遣ってくれた事が嬉しくて。


頑張ってね。
そう言ってしまったんだ。



だって、
それが、

こんなに忙しいだなんて思わなかったんだもん!