少し歩いた先で、
当たり前かのように手渡されたヘルメット。
見慣れないバイクから、
それを取った仁に
「何これ……?」
そう聞くのが精一杯だった。
「え? ヘルメット。
……綾さん、ヘルメット知らんの!?」
まさか!? そんな顔をした仁に見つめられる。
「いやいや……ヘルメットは、知ってるよ」
「そ、じゃ被って?」
淡いピンクのヘルメットを見つめながら、
頭をフル回転さして答えを見つける。
「これって仁のバイク?」
「そー。はい、乗って」
ヘルメットを被り、
バイクに股がる姿をドキドキしながら見つめる。
大きなバイクは、
仁に凄く似合ってて見惚れてしまう。
「メットのサイズ大丈夫?」
「あ……うん」
「それ、綾さん専用ね」
あたし専用!?
すっごい嬉しー……。
じゃなくてっ!
どうしてこう毎回毎回、
仁のかっこよさに流されちゃってんだ、あたし!