あたしが外へ出ると、
目の前には仁が居て。

本物だぁー。なんて思っちゃって。


それだけで……



「え、綾さん!? 何で泣いてん!?」



自然と涙が溢れ出てしまった。



23歳にもなって情けない。

恋ひとつ上手く出来ないし、
気持ちすら伝えれない。



そんな、あたしに仁の優しい笑顔は胸に刺さる。



「どうしたん? 何かあった?」



小走りであたしに近付いて来てくれるのが、嬉しい。

眉を下げて心配してくれるその顔が、嬉しい。

あたしの肩を触る手が暖かいのが、嬉しい。



「仁ー」



呼ぶと「ん?」優しく残る声が。



「あたしね」



驚きながらも「ん」優しく届く声が。



「仁がね」



ふと笑い「んー?」甘く響く声が。



「……好きーぃ」