今年最後の日に、仁に会える!
さっきまで声だけでもいいから
って思っていたくせに、
会えるとなったらすぐにでも会いたくて仕方ない。
そして気付いた、あたしの格好。
寝起きそのままの姿が鏡に映し出されて、
あたしは慌ててバスルームへと走った。
まさか会えるなんて思ってなかったから何の準備もしてなかったんだ!
あー、もう。
あたしのバカー。
中々直らない寝癖とか、
今日に限って失敗しちゃう眉毛とか。
全部が思い通りにならなくて、
変に焦ってしまう。
準備しながらも、
携帯を常にチェックして。
まだかな、って気持ちと。
もう少し待って、って気持ちと。
複雑過ぎる女心を、
自分自身でも疑問に感じてしまう。
あれでもない、これでもない、
クローゼットから服を引っ張り出してはベッドへ投げ出していた時、
携帯がメール受信を知らせた。
服を躓き、こけそうになりながらも辿り着いた携帯は
“もう着く”
そんな仁からのメッセージを乗せて。
きゃー!
まだ下着姿だしっ!
クローゼットから服を取り出し、
鏡の前で合わせる。
2~3着悩んで決めた服を着て、
コートを羽織り、
汚い部屋を放置したまま
勢いよく飛び出した。