千恵め! 後で絶対キレてやる!
と、心の中で思ってたあたしの耳に当てた携帯からは



《……》



何も聞こえてこない。



あ、れ?



「仁?」



もう1度、呼んでみた。

でも……返事がない。



電波悪い?

耳から離した携帯を見たら、3本。



《……の?》



え?

耳に携帯を戻した瞬間、
微かに聞こえた声。



「ごめん、聞こえにくくて。なんて…」

《迎えに行くわ。
何時に終わんの?》



へ!?

迎えにって。


えぇ?

まさか、そんな返事が返って来るなんて思わなくて言葉に詰まった。



《だから、何時?》

「あ……何時でも!」

《え? じゃあ、すぐ行くわ》



あたしのマヌケな答えに、
ちょっと優しい仁の声。


つい声が上擦って、うん♪と返事した。