《あー……うん》

「バイト、お疲れ様」

《うん。……綾乃さんは、まだ飲み会中?》

「え、あ。うん。で、でも、もう帰るんだけどね?」



ちょっと冷たい仁の声に、
あたしは小さな嘘を吐いてしまう。


帰えりたい。が本音。


それより、仁に会いたい。が……



《そうなんや、なら……》

「綾乃ちゃん、2時間延長したってー」



仁が話している途中に、
山北さんの声が聞こえた。



「はぁ? 2時間も!?」



2時間という事に驚いて思わず大声を出してしまった。


山北さんは、電話中だったあたしに気を遣ってか“ごめん”そんなポーズをして部屋に戻って行った。



「あっ! 仁、ごめん。で、どうしたの?」



慌てて、仁との会話に戻る。