「明日、仕事だよ?」



なんて意地悪言ってみたり。


だって帰りたいんだもん!



「いーじゃん。まだ11時前だし、タクで帰れば問題なし!」



え……。

マイクのエコーが響く中、
慌てて立ち上がった。



11時ですと?



仁に電話してないしっ!

慌てて携帯を持って、
部屋を飛び出した。



千恵が「延長は~?」なんて言ってるのも無視。

誰かに勝手に頼んでっ!

それよりも大事な事があるんだもんっ。


外に出て開いた携帯を鳴らす。



――プルルルル……

機械音と、漏れた歌声を聞きながら待っていると



《……はい》



ちょっと不機嫌な仁の声が耳に響く。



「あっ、ごめんっ!
寝てた?」

《……起きてましたよ》

「あ、電話……遅くなっちゃってごめんね?」



何か緊張しちゃう。

仁が敬語だからかな?