「急に何言い出すねんって思った?」



そう頬を赤く染めた仁に、うん。と小さく頷いた。



「綾さんの寝顔見てたら急に思ってん」



もっと頬を染め、恥ずかしそうに呟く。



あぁ、もう駄目だ。

我慢の限界。



堪えていた涙は、一気に溢れてしまった。



「綾さん?」

「もー、無理ー」

「え? 何が!?」



体を起こし、あたしを上から見下ろす仁に



「仁が泣かすようなこと言うからじゃん」



と半ば逆ギレ。



その言葉に、仁は“ごめん”を繰り返すけど。


あたしの涙は止まらない。


もし今日が世界の終わりだとしても、あたしは絶対哀しくない。

自信を持ってそう言えるくらいに、幸せなんだ。