「俺のこと考えてたとかー?」
なんて意図も簡単に言い当ててくれちゃって。
多分、冗談で言ったんだと……今は思う。
けどね?
もう反応しちゃった。
真っ赤になって再び俯くあたし。
だって、まさか、そんな冗談言うなんて思ってなかったし。
穴があったら入りたいって、この事なんだなぁ。
恥ずかしすぎるっ!
なのに仁からは何も言葉もない。
……あれ?
俯いてた顔を少し上げて見たらドアから覗いてた仁が、そのまま俯いてる。
何で仁が俯いてるの?
覗き込んだ瞬間、抱きしめられた。
「今のは、セコイ。てか綾さん、何なん?」
強く抱きしめられ、顔が見えない……けどね?
耳赤いよ?
心臓がうるさいよ?
「ね、仁? もしかして顔赤い?」
きつく抱きしめる腕が、緩くなった。
「うっさい……」
そう言ってキス。
『うっさい』
って言葉なのに……
どうして優しく聞こえるんだろうね。