「寒ない?」

「ん、仁といるから大丈夫!」

「また、んな事をサラッと言うなぁ」



苦笑いを見せる仁は、
そっぽ向いてしまう。


だって、本当の事だもん。

仕方ないよね。



「なぁ、綾さんてさ。男運悪いんやんな?」



ブッと口をつけたコーヒーを
噴出しそうになった。



「な、何、突然?」

「会った時、言うてたやん。今まで振られた記憶しかないって」

「そうだけど、男運がないわけじゃないよ。
付き合ったらさ、言いたい事とか言えなくなって駄目になっちゃうだけ」



いつもそう。



付き合うまでは、
こうして腕を組んだり、
好きって言葉も簡単に言えるのに。


付き合うと、
嫌われたくない。


それだけになって

『何か違う』

そう言って振られちゃうんだ。