部屋に鳴り響く、携帯電話の着信音。
重く、
遅く、
手を伸ばし届くか届かないかってところで、切れた。
その場で静止。
再び、鳴り響く着信音。
静止した場所から、
またゆっくりと動き、
やっと届いた携帯電話。
“通話ボタン”を勘で押して、
携帯を耳にあてた。
《綾さん! どうかしたん? 電話でぇへんから心配したやん》
一気に沢山喋られても頭が回らない。
《綾さん!? 聞こえてるー?》
大きな声で喋らないで。
頭痛が……。
《綾さ……》
「む……り」
《へ? 綾さん!? ちょっ……》
そのまま耳から離れていく携帯から、
微かに聞こえた仁の声。
それを子守唄かの様に聞きながら、
また眠りに就いた。