「……それってキスマーク?」

「……はっ!?」



言われた事を理解するまでに、数秒。


慌てて首に手をやり、
何の事だか考えた。



「あぁ、コレね」



やっと理解したあたしは苦笑い。

だって、コテでヤケドしたやつだもん。


海近くって風強いから見えちゃったんだろな。



「……ごめん、何でもない」

「へ!?」



哀しそうな笑みを零し、
あたしに背中を向ける。

慌てて、手を引っ張ったあたしは



「これヤケド! ……コテで」



物凄く小さな声で呟いた。


せっかく褒めてもらえたのに、
カッコ悪いなー。



「え? ヤケド? コテ?」

「うん。髪の毛を巻くやつ」

「あぁ、あれコテって言うん? それでヤケドしたん?」

「うん。いつもより念入りに巻いてたら……えへ」



カッコ悪過ぎて
笑って誤魔化すしか出来ないあたしの首に、
仁の手が伸びた。



「大丈夫?」

「う、うううううん!」



ヤケドの部分を見る為だとはわかってるけど、
近付いた仁の顔にドキドキしてしまう。