「で、行かなくていいんですか。仁のところに」



何でかな。

年下で、しかもライバルに背中を押される彼女なんて普通いる?



「あ、うん」



ここまで言われても、
あたしの足は重く進めない。



「何してんですか。さっき覗いてた勢いはどうしたんです?」



痛いところを突かれ苦笑い。


だってさっきのは何も考えてなかったから、ね。



「サッサッと仲直りしないと、私が奪いますよ?」

「え! そ、それは駄目!」



そう言うと、あたしはカフェから飛び出した。



仁だけは誰にも渡したくないもん。

絶対に嫌だもん。