「まぁ、もういいんですけどね」



やっとあたしの目を見た礼子ちゃんは、
そう言いながら息を吐いた。



「駄目なのは文化祭の時にわかったんで」



文化祭の時って、
あたしが初めて礼子ちゃんに会った時だよね。



「打ち上げも勝手に抜けちゃうし、本当最悪。
だから駄目元で告白したんです。気持ちをスッキリさせたくて」

「そうなんだ」

「はい。ずっと好きだったのに何も言わず諦めるとか、私らしくないですから」



礼子ちゃんは高校生で。

あたしより5歳も年下なのに。


しっかりしてる。


ちゃんと自分の思ったことも言えて。

あたし……何してるんだろう。



ストーカーまがいなことして。

謝らなきゃって思ってるのに、行動に移せなくて。

どんどん悪い方向にばっかり考えて。



「なんで、仁は悪くないですよ」

「え?」

「好きだった人だから、私のせいで喧嘩とか疑われたりするのは嫌なんで話したまでです」

「あ、うん」