「綾乃さん、仁と何かありました?」
ギクッと肩があがったのが自分でもわかる。
「やっぱり」
それを見ただけで、
礼子ちゃんは納得してしまう。
高校生に見破られるって、
あたしってどれほど分かりやすい人間なんだろう。
「今日の仁、元気なかったですよ」
そう、なんだ。
あたしの知らない仁を語られ、
それだけで嫉妬してしまう。
「昨日、私が告白したからそれでかな、って思ってたのに。
やっぱり綾乃さんなんですね」
そうサラッと言った礼子ちゃんは、
ナフキンを畳み続ける。
やっぱり告白したんだ。
だけど、どうしてかな。
素直に喜べない。
仁が断ったのを見た。
この目でちゃんと見たのに。
あたしは、それを喜ぶことが出来ない。