冷静に頭で考えているのに、
体は中々動かなくて。
ハッと気付き、
山北さんを振り払おうとしたら
「綾乃ちゃん、危ないって」
そう言われ、
腕を掴まれてしまった。
まるで操り人形のような格好になる、あたし。
「綾乃ちゃんの彼氏君?」
わざとらしいくらいにセリフっぽく、
あたしに聞く山北さんに突っ込むことすら出来ない。
さっき苛め過ぎたせいかも。
山北さんの逆襲だ。
「あはは、そんな恐い顔しなくても何もないよ?
今日は」
「は? 山北さん!?
今日はって何?
これからも何もないよっ」
「綾乃ちゃん、ハッキリ言い過ぎ。
彼氏君にもこれくら言っちゃえばいーのに」
「ちょっ……」
「俺は、いつでも空けとくからね」
って今言うな。
今!
ほ、ほら……仁の顔がめちゃくちゃ恐いじゃん。
ボケ山北!