「綾乃ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫れすよ~」
呂律の回らないあたしを
山北さんが、タクシーから引きずり出す。
あの後も飲み続けた、あたしはこのざま。
「ほら、頑張って立って」
「立ってますってぇ」
「立ってないじゃん」
苦笑いを零す山北さんの肩に
圧し掛かるようにして立つあたしの耳に届いた声。
「何してん、綾さん?」
ゆっくりと視線をあげ、
声のする方へと視線を向けると
無表情の仁が立っていた。
「え? へ? 仁?
な……なっ、何れ?」
「おったら、あかん?」
「いっ、いや……
そんな事はないけど」
ポーッといい気分だった、
あたしの酔いはサーッと音がして醒めて行く。
普段なら嬉しい状況だよ。
仁が待っててくれてただなんて。
でも今の状態は……どうなの?
山北さんに支えられ。
しかも抱きつくように支えられてる。
仁、そこ注目してるよね。