その後、合流した千恵は気に入った男の子のメアドを聞いたと大喜びしていた。
あたしも話に合わせていたつもりだったのに、
「綾乃、何があったの?」
まるで見ていたかのような言葉に驚いた。
「何にもないよ?」
焦って早口になってしまったあたしを見て、曇った顔を見せ
「嘘。何かあったでしょ? いつもの綾乃じゃない」
そうズバッと言われてしまう。
いつものあたしってどんななの?
そう思って聞いたら
もっとノロケる。
って答えに、笑いながら怒った。
そんなノロケてるつもりないのにさー。
失礼しちゃう。
だけど、千恵に隠せるはずもなく。
さっきあったことを伝えるだけ伝えた。
ただ、あたしの中に生まれた醜い心をなるべく隠して。
「そんな強敵がいたのか。まぁ、仁のことだから大丈夫だとは思うけど」
そんな優しい言葉をくれて、
あたしの重くなった心は少しだけ軽くなる。