「綾さん、すぐ戻るからここおってな?」
「う、うん!」
……あ、れれ?
あたし何か間違った?
「ほら早く!」
そう言いながら仁の背中を礼子ちゃんは両手で押しながら行ってしまった。
あ。
もしかして。
その場に残されたあたしは、
ようやく気付いたんだ。
あたしの具合が悪いって言ってくれたのはフォローの為じゃなく、この為だったの?
あの子。
礼子ちゃんて……相当危険なライバルじゃない?
同じ学校で。
同じクラスで。
仁に近くて。
それよりも、仁がそれに気付いていないってことが1番……危険なんじゃないの!?