事務処理を済ませ、
デスクの上に出ていた用具を引き出しにしまうと終了時刻のチャイムが鳴り響いた社内。

チャイムと同時に周りが少しざわつき始めた中に



「今日帰り飲み行くけど、どう?」



同僚の千恵(チエ)の上擦った声が飛んできた。


慌てて帰る準備をしている、あたしの返事は勿論



「ごめん、パスー!」



目の前で合わせた手とは裏腹に、
嬉しそうな顔を見せて断ってしまった。



だって。

今日は、デートなんだもん♪



コートを羽織り、
お気に入りの鞄を持って、
腕時計で時間を確認しながら会社を後にする。


仕事帰りの疲れたサラリーマン。

キャッチをしてる男の子。

キャーキャー騒ぐ若い子達。


普段なら嫌で仕方ない人込みすら、
今のあたしには気にならない。


待ち合わせ場所までダッシュする、
あたし柊 綾乃(ヒイラギ アヤノ)23歳。


今、幸せの絶頂期中。


そんな、あたしの好きな人は17歳の現役高校生だったりします。