「終わるまで待ってるから、ね?」
「……うん」
少し拗ねながらも、
納得した仁があまりにも可愛くて仕方ない。
絡まった指を外すのは、
寂しいけど仁のこんな顔見れたし文句は言わない。
「じゃあ、後頼む」
そう言うと勢いよく走り去ってしまった。
「じゃあ俺達も行こっか」
敦君が促し歩き出した。
「あ、敦君! あたし見たいのがあるから1人で回ってくるね」
「え? なら一緒に……」
「ううん、大丈夫! せっかく彼女待ってくれてるんだから2人で行ってきなよ」
「でもっ」
「いーの、いーの! 途中で千恵見つけるしね」
「本当に大丈夫?」
「大丈夫だって! ほら、彼女待ってるよー」
そう言いながら、
何か言いたそうな敦君の背中を無理矢理押した。
その先には可愛らしい女の子が不思議そうな顔でこちらを見つめてて。
あたしがにっこり笑って会釈をすると、彼女も笑って頭を下げる。
良い子じゃん♪
やっぱり文化祭っていえば、
彼女と2人で回りたいじゃん。
それなのに、いきなりお姉ちゃんの友達です。
とか言って23歳のあたしが、そこに入るなんてねぇ。
別に仁が戻ってくるまでの間なんて1時間くらいでしょう?
それくらいなら1人で時間潰せるし。