ちょっと!
仁は、あたしの彼氏なんだから。
今日だって一緒に回る約束してるんだからっ!
心の中では女子高生と戦ってるあたしだけども。
勿論、その訴えは心の中だけで。
そばに居た千恵と敦君に目で訴えるも
「まぁ、仁モテるしね」
「うん。あの顔でモテなかったら逆に変だよね」
さっきまで喧嘩していたとは思えない兄弟の会話プレーにトドメを刺された気分。
「ねー、広瀬君」
「……うっさい。退けって」
女の子の声が響く中、そこに似合わない低い声。
……ん?
今の声は、仁だよね。
「ひどーい」
なんて言う女の子の声は、全然凹んでなくて。
喜んでるようにも聞こえた。
「だから邪魔。まとわりつくな」
いつもの大阪弁じゃくて。
それに聞いたこともないような鬱陶しそうな声。