「そうと分かれば、こんなとこでチンタラしてる暇はないよ!」

「え!?」



そう叫ぶと、あたしの背中を押し簡単に正門を潜らせた。



やっ、えっ、はっ、ちょ。

ちょっと待ってよ~!



そんな言葉も言わせて貰えず、どんどんと進む千恵。



入ってしまえば、保護者なのか年配の方も沢山居て。

それなりに馴染んでしまったんだけど。



「わー、文化祭っても夜店みたい!」

「本当だね」



ガヤガヤするお店の間を歩きながら、
キョロキョロと周りを見渡してしまう。


あたしの高校は、飲食系は出展禁止だったから凄く新鮮だなぁ。


それに、当たり前なんだけど仁と同じ制服姿の子がいて。

それだけでドキドキしてしまう。


だって、この中に仁がいるんだって思うと……ね。



「えーっと、ここだね」



千恵に連れて行かれた先には3-Aと書かれた教室。


しかし、学校広くない?
これ1人だったら絶対迷子になってたよ。



「あーやーのー!」

「はい!?」

「だからココだってば!」



そう大きな声で指を刺しながら言われ、
周りに居た数人の生徒に注目されてしまった。


そんなことも全く気にせず
中を覗き込む千恵を尊敬してしまう。


この痛いくらいに浴びてる女子高生の視線を無視出来るなんて……凄すぎる。