隣で、焦った顔をしてるだろう仁は



「綾さん!?
俺、何か変なこと言うた?」



必死にあたしの涙を拭ってくれる。



だけど、拭いきれない涙はボタボタと服を濡らす。



あたしは欲張りなんだ。



好き、言葉を貰えてるのに。

行動、沢山してくれるのに。

気持ち、あたしを思ってくれてるのに。



ちょっとしたことで、すぐに不安になって。

ちょっとしたことで、疑って。

ちょっとしたことで、泣きそうになってしまう。



「仁……好きぃ~」



大泣きしながら言うセリフなのかなんて、わからない。



けど……。



凄く言いたくて、
言いたくなっちゃった言葉は止めれなかった。



無言の仁は、そっとあたしを引き寄せた。



運転席と助手席で少しある距離。

抱きしめにくいのに……強く強く抱きしめてくれる。


頭上から聞こえる仁の囁く声に、また……涙は流れた。




「俺も好きやで」