仁をデートに誘うと、
『俺が払う』
って聞かないから、
いつも先にお店に頼んでるんだよね。
支払いはカードでって。
それが気に入らないらしい。
だって仁、高校生じゃん。
お金ないじゃん。
しかも誘ってるのあたしじゃん。
それに……お金の心配して会えないのなんて。
「……嫌だもん。会えないの」
「え?」
「そんなのどーでもいいから! 毎日会いたい」
「綾さん?」
少し驚いた顔をする仁に、
「2日に1回……ダメ?」
なんて我儘を言ってみた。
「はっあぁ~」
大きな溜息と一緒に、
仁の香りに包まれる。
ギュッと抱きしめられ
スッポリと仁に埋まったあたしは、
ギューっと抱きついた。
「んな可愛いこと言われたら、毎日会わなしゃーないやん」
はぁ。と大きな溜息と少し呆れた声。
「わーい♪仁、大スキ!」
調子に乗って言ってみたあたしが、
顔をあげると哀しい顔で笑ってた。
……仁?